トウキョウトガリネズミとはどんな動物?特徴、生態、生息地について解説していきます。名前は東京なのに実際に住んでいる地域は全く違いますので注意してください。とても希少なネズミで絶滅危惧種に指定されています。
トウキョウトガリネズミとは? 基本ステータスについて
トウキョウトガリネズミは真無盲腸目トガリネズミ科トガリネズミ属に属する哺乳類のモグラです。学名はSorex minutissimus hawkeri。体長がわずか45-49mm、尾長約27-31mm、体重約1.5-1.8gで極めて小さい動物です。
| Japanese(和名) | トウキョウトガリネズミ |
| English(英名) | Hawker’s least shrew |
| scientific name(学名) | Sorex minutissimus hawkeri |
| classification(分類) | Mammalia、 Eulipotyphla、 Soricidae、Sorex 哺乳綱、真無盲腸目、トガリネズミ科、トガリネズミ属 |
| IUCN Status(保全状況) | VULNERABLE |
| Length(体長) | 45-49mm |
| Weight(体重) | 1.5-1.8g |
トウキョウトガリネズミのルーツ、起源は?
トウキョウトガリネズミ(Sorex minutissimus hawkeri)は、名前に「ネズミ」とありますが、ネズミの仲間ではなく、モグラに近い系統の小型哺乳類です。分類上はトガリネズミ目トガリネズミ科に属します。
1. 祖先は約6000万年前の「初期食虫類」系統
トウキョウトガリネズミの遠い祖先は、恐竜絶滅後の新生代初期(約6600万年前以降)に広がった、小型の昆虫食哺乳類です。
進化の流れは大まかに:
初期の小型哺乳類
↓
食虫性哺乳類(昆虫を食べる系統)
↓
トガリネズミ科(Soricidae)
↓
チビトガリネズミ(Sorex minutissimus)
↓
トウキョウトガリネズミ(北海道亜種)
という流れになります。
現在のトガリネズミ類は、モグラ・ハリネズミなどと近縁な「ローラシア獣類(Laurasiatheria)」という哺乳類グループに含まれます。
2. 世界的なルーツ:ユーラシア北部
トウキョウトガリネズミは独立した日本固有種ではなく、もともとは、
- ロシア北東部
- シベリア
- モンゴル北部
- 中国東北部
- 北海道
など、ユーラシア北部の寒冷地域に広く分布するチビトガリネズミ(Eurasian least shrew)の仲間です。
北海道の個体群は、氷河期の気候変動によって大陸側から渡来し、その後北海道で孤立して現在の形になったと考えられています。
3. 北海道に来た時期
有力な説では、更新世(約260万年前〜1万年前)の寒冷期に、
シベリア・極東地域
↓
サハリン周辺
↓
北海道
へ移動したと考えられています。
氷期には海面が低下し、北海道と大陸側の距離が現在より短くなったため、寒冷地性動物が日本列島へ入りやすい環境でした。
同じような経路で北海道へ来た動物には、
- エゾナキウサギ
- エゾユキウサギ
- キタキツネ
- エゾリス
などがいます。
4. なぜ「トウキョウトガリネズミ」という名前なのか?
非常に有名な名前の間違いがあります。
発見時の標本ラベルには北海道を意味する 「Ezo(蝦夷)」 と書かれていました。
しかし、それが後に 「Edo(江戸=東京)」 と読み違えられ、
「トウキョウトガリネズミ」
という不思議な名前になりました。
実際には、
東京には生息していません。
主な生息地は北海道東部の草原・湿原です。
名前の由来は?
トウキョウトガリネズミとなれば東京の生き物として認識するのが普通。しかしなぜなのか?それは1903年にさかのぼります。この時代に発見された動物ですが、発見者であるホーカーが標本ラベルにYezo(蝦夷)と書くべきところを誤ってYedo(江戸)と表記してしまったのが名前の由来です。また亜種も存在します。オオアシトガリネズミは日本で最も大きな種で他にもエゾトガリネズミと、ヒメトガリネズミがいます。
学名と分類
- 学名:Crocidura dsinezumi
- 目:食虫目(Eulipotyphla)
- 科:セミトガリネズミ科(Soricidae)
- 属:トガリネズミ属(Crocidura)
- 種:トウキョウトガリネズミ (Crocidura dsinezumi)
生息地について
トウキョウトガリネズミは北海道の幌延町や猿払村、白糠町、根室市、鹿追町、三笠市などで生息しています。
1. 地理的分布
- 日本固有種で、特に関東地方を中心に分布。
- 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などの平野部や丘陵地帯でよく見られる。
- 九州や北海道など他の地域には基本的に分布していない。
2. 生息環境の特徴
- 都市近郊や農地、草地、雑木林など多様な環境に適応。
- 落ち葉や草の下、石や倒木の隙間など、隠れる場所がある場所を好む。
- 夜行性のため、昼間は巣穴や落ち葉の中で休み、夜間に活動して餌を探す。
3. 環境条件
- 湿度や水辺の近さに特別依存するわけではなく、都市化された環境でも生息可能。
- 土壌や落ち葉の多い環境は、昆虫などの餌を確保しやすいため好まれる。

特徴は?どんな感じの生物なのか?
トウキョウトガリネズミはとがった鼻と小さな目が特徴で、名前にネズミと付いていますがモグラの仲間です。トウキョウトガリネズミは世界最小のほ乳類でモグラのような大きな手が特徴で、穴をほって地中で暮らしています。そのため、地上では見れない時間もあります。体が小さいため、約30分おきに採食と休息を繰り返すと言う特徴を持っています。
1. 外見・体の特徴
- 体型:小型で細長く、丸みのある小さな頭と尖った鼻を持つ。
- 体長・体重:
- 体長:約5〜7cm
- 尾長:約3〜4cm
- 体重:約5〜10g
- 毛色:背面は灰色〜茶褐色、腹面は淡い灰色。
- 手足・尾:小さな手足で歩行や掘削が可能。尾は細長く、バランスを取るのに役立つ。
2. 行動・生態
- 夜行性:昼間は巣穴や落ち葉の中で休み、夜間に活動して昆虫や小型無脊椎動物を捕食する。
- 単独行動:基本的に単独で生活する。
- 敏捷性:小型で素早く動き、落ち葉や草の下に隠れるのが得意。
3. 特殊な特徴
- 食虫目特有の尖った鼻:昆虫や小型無脊椎動物を探すのに適応。
- 高い繁殖能力:都市環境や農地でも個体数を維持できる柔軟性を持つ。
- 適応力:都市化された環境や農地など、人間活動の影響下でも生息可能。
生態はどうなっているのか?
トウキョウトガリネズミは毒を持っており、狩りに利用してます。この毒で敵を麻痺させて、素早い動きで自分より大きな虫などもつかまえます。主な食べ物は昆虫類となります。トウキョウトガリネズミの寿命は1年から2年と言われています。まだ生態についてはなぞも多いです。研究で解明されておりません。
1. 食性(何を食べるか)
- 食虫性で、昆虫やクモ、ミミズ、小型無脊椎動物を主に捕食。
- 落ち葉や草の下を探しながら獲物を捕る。
- 雑食性の傾向もあり、植物の種子や果実を食べることもある。
2. 繁殖・成長
- 繁殖期:春〜夏にかけて活発に繁殖
- 妊娠期間:約3週間
- 出産:1回に2〜6匹程度の子を産む
- 子どもの成長:生まれた直後は巣穴で母親に保護され、数週間で目が開き自立の準備を始める。
3. 行動・生活習慣
- 夜行性:昼間は巣穴や落ち葉の中で休む。
- 単独行動:縄張りを持ち、他個体との接触は繁殖期のみ。
- 敏捷で隠密性が高い:落ち葉や草の下を素早く移動して捕食や危険回避を行う。
4. 移動・生息環境の利用
- 巣穴や落ち葉の下、石や倒木の隙間を利用。
- 都市近郊や農地など、人間活動の影響を受ける環境でも柔軟に生活できる。
5. 天敵・脅威
- 天敵:フクロウやヘビ、猫など
- 人間活動による脅威は比較的少なく、都市化した環境でも生息可能だが、農薬や環境破壊の影響はある。

トウキョウトガリネズミの鳴き声
トウキョウトガリネズミ(Sorex minutissimus hawkeri)は、非常に小さい体ですが、音を使って仲間とのコミュニケーションや周囲の確認を行います。ただし、野外で人間がはっきり聞けるような大きな鳴き声を出すことは少なく、研究例や録音資料は限られています。
1. 代表的な鳴き声
聞こえ方としては、
- 「チッ、チッ、チッ」
- 「チュッ、チュッ」
- 高い小さな連続音
- かすかなピーピー音
のような短い音と表現されます。
特に幼獣は、生後数日で鳴き始め、母親への呼びかけとして鳴き声を使います。
2. 超音波も使う
トウキョウトガリネズミを含むトガリネズミ類は、コウモリのように高周波音(超音波)を発する能力を持っています。
目的は主に、
- 暗い場所で障害物を探す
- 巣穴や草の間の位置を把握する
- 周囲の環境を認識する
ためと考えられています。
ただしコウモリのような高度な「飛行用レーダー」ではなく、**近距離の探索補助(簡易的な反響定位)**に近いものです。
3. 仲間との会話
鳴き声は以下の場面で使われます。
🟤 親子間
- 子どもが母親を呼ぶ
- 巣内で位置を知らせる
🟤 繁殖期
- オス・メス間の接触
- 相手への反応
🟤 危険時
- 捕食者に襲われた時の警戒音
4. 人間には聞こえにくい理由
トウキョウトガリネズミは体重約2gほどしかない世界最小級の哺乳類で、発する音も非常に小さいです。
また、トガリネズミ類は高周波音を利用するため、
- 人間の耳では聞き取りにくい
- 草むらの中では周囲の音に埋もれる
- 夜間活動時は発見自体が難しい
という特徴があります。
季節別の活動
トウキョウトガリネズミ(Sorex minutissimus hawkeri)は、北海道の寒冷な環境に適応した世界最小級の哺乳類です。体が小さいため体温低下やエネルギー不足のリスクが高く、一年を通して活動を続けます(冬眠しません)。
🌱 春(4月〜6月)
活動:増加期・繁殖開始
雪解けとともに活動量が増えます。
主な行動:
- 雪の下や落ち葉の間から出て活動
- 昆虫・クモ・小型の節足動物を探す
- 繁殖活動が始まる
- オスとメスの接触が増える
春は食料が増え始める重要な時期です。
特に北海道では、
- 湿地
- 河川沿い
- 草原
- ササ原
などで活動します。
☀️ 夏(7月〜8月)
活動:一年で最も活発
夏はトウキョウトガリネズミにとって最も生活しやすい季節です。
主な活動
- 昆虫類を大量に捕食
- 巣作り
- 子育て
- 若い個体の分散
食べるもの:
- 小型昆虫
- 幼虫
- クモ
- ミミズ
- 小型の無脊椎動物
体が小さいため代謝が非常に高く、一日に体重の数十%以上の食物を必要とすると考えられています。
🍂 秋(9月〜11月)
活動:冬への準備
秋になると気温が低下し、昆虫が減少します。
行動:
- 食べられる小動物を探し続ける
- 落ち葉や植物の根元を利用して隠れる
- 冬を越す場所を確保する
トウキョウトガリネズミは冬眠しないため、脂肪を大量に蓄える動物ではありません。
そのため、
「冬眠する」より「常に食べながら生きる」
という戦略を取ります。
❄️ 冬(12月〜3月)
活動:低下するが冬眠しない
北海道の厳しい冬でも活動します。
特徴:
- 雪の下の空間を移動
- 地表より温度変化の少ない場所を利用
- 昆虫の幼虫や土中の小動物を探す
雪は逆に、
- 風を防ぐ
- 温度変化を抑える
- 捕食者から隠れる
という「断熱材」の役割を果たします。
1日の活動リズム
トウキョウトガリネズミは主に、
🌙 夜間〜薄明薄暮
(夕方・明け方)
に活発になります。
ただし完全な夜行性ではなく、
- 数十分活動
- 休息
- 再び活動
という短い周期を繰り返します。
理由:
体が小さいため、
- 体温維持
- エネルギー補給
のために長時間寝続けることができません。
歩行速度
トウキョウトガリネズミ(Sorex minutissimus hawkeri)は、体重約1.5〜2gほどの極小哺乳類で、正確な最高速度を測定した研究は非常に少ない動物です。しかし、近縁のトガリネズミ類の運動能力から推定すると、体の大きさに対して非常に高速で移動します。
🚶 通常歩行
約0.1〜0.3 m/s(時速0.4〜1.1km程度)
- 草や落ち葉の間を細かく移動
- 鼻先で地面を探りながら餌を探す
- 短い距離を頻繁に移動
🏃 活発に走る場合
約0.5〜1 m/s(時速1.8〜3.6km程度)と推定
行動時には、
- 体を低くする
- 四肢を高速で動かす
- ジグザグに方向転換する
という特徴があります。
人間から見ると「走る」というより、草むらを高速で滑る小さな影のように見えます。
体長に対する移動能力は非常に高い
トウキョウトガリネズミは体長約5cm。
仮に秒速1mで移動すると、
1秒で体長の約20倍の距離
を進む計算になります。
これは人間(身長170cm)が同じ比率で動くなら、
約34mを1秒で移動するような能力です。

トウキョウトガリネズミの幼獣について
トウキョウトガリネズミ(Crocidura dsinezumi)の幼獣について整理すると、外見・成長・行動・母子関係などは以下の通りです。
1. 外見・体の特徴
- 体色:生まれた直後は淡い灰色〜茶色で、腹面はやや明るい。成長とともに大人と同じ灰褐色になる。
- 体長・体重:
- 体長:約3〜4cm
- 体重:約2〜4g
- 体型:非常に小さく、柔軟で短い脚と細長い体を持つ。
2. 成長と発達
- 授乳期間:母乳で約3週間授乳される。
- 離乳:生後3〜4週間で昆虫や小型無脊椎動物を食べ始める。
- 自立:生後1か月程度で巣穴を離れ、母親から狩りや隠れ方の技術を学ぶ。
- 性成熟:生後2〜3か月で繁殖可能になることもある。
3. 行動・母子関係
- 幼獣は母親と密接に行動し、巣穴で保護される。
- 母親は捕食の仕方や危険回避の方法を幼獣に教える。
- 幼獣同士で遊ぶことで、運動能力や狩りのスキルを習得する。
4. 脅威と生存
- 幼獣は成体よりも天敵に弱く、フクロウやヘビ、猫などに狙われやすい。
- 巣穴や母親の保護が不十分だと、生存率は低くなる。
トウキョウトガリネズミは絶滅危惧種なのか?
トウキョウトガリネズミは日本の北海道版レッドリストでは絶滅危惧種に指定されています。環境省レッドリストではトウキョウトガリネズミは登録されています。そもそも生息数が少ないため危機的な状況にあります。
1. IUCNレッドリストでの評価
- 現時点での評価:IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは、「絶滅危惧種」には指定されていない。
- 分布域が比較的広く、都市近郊や農地にも適応できるため、野生個体群の減少は極端ではないとされる。
2. 日本国内での扱い
- 日本の環境省レッドリストでは、特に絶滅危惧種として指定されていない。
- 都市化や農地開発の影響は受けるが、都市近郊にも生息しており、柔軟に適応している。
3. 保全上の注意点
- 農薬や環境破壊により、局所的には個体数が減少する可能性がある。
- 外来種のネズミ類との競合なども、影響がある場合がある。
トウキョウトガリネズミは飼育可能?
トウキョウトガリネズミはまだまだ生態が謎の面も多く、毒も持っていますので安易に飼育はおすすめできません。
1. 生態的な理由
- 夜行性で隠密性が高い:昼間は巣穴や落ち葉の中で休むため、観察や管理が難しい。
- 小型で敏捷:捕食本能が強く、狭い飼育環境ではストレスが大きい。
- 食性の特殊性:昆虫や小型無脊椎動物を捕食する食虫性で、人工飼料だけで健康を維持するのは難しい。
2. 法律・規制
- 日本国内では絶滅危惧種ではないが、野生個体を捕獲して飼育する場合は地方自治体や自然保護法で制限がある場合がある。
- 個人での飼育は、捕獲許可なしには基本的に認められない。
3. 飼育施設での状況
- 飼育例はごく限られ、研究機関や大学の実験施設など、特別な目的のための飼育に限られる。
- 飼育には夜行性環境、適切な昆虫類や無脊椎動物の餌、巣穴や隠れ場所、専門スタッフによる管理が必要。

飼育されている動物園(日本・世界)
トウキョウトガリネズミ(Sorex minutissimus hawkeri)は、飼育が非常に難しい希少な小型哺乳類です。体重約2gしかなく、食事量・温度管理・ストレス管理が難しいため、世界的にも飼育例は極めて少ない動物です。
🇯🇵 日本で飼育されている動物園
多摩動物公園(東京都)
世界で最も重要なトウキョウトガリネズミ研究施設の一つ
- 飼育・研究開始:2000年代
- 生態解明・繁殖研究を実施
- 2021年には**世界初となる飼育下での繁殖成功(出産確認)**を達成
多摩動物公園では、北海道の個体群を対象に、
- 捕獲技術の確立
- 飼育方法の研究
- 繁殖生態の解明
- 野生復帰につながる基礎研究
を進めています。
ただし、現在は常時一般公開されているわけではありません。展示状況は変動します。
札幌市円山動物園(北海道)
北海道産トガリネズミ類の研究・普及活動を行っています。
- 北海道大学などと協力してトガリネズミ類の飼育研究を実施
- トウキョウトガリネズミを含む北海道の小型哺乳類への理解促進活動を行っています
ただし、トウキョウトガリネズミの常設展示については限定的です。
🌍 世界の飼育状況
ロシア・シベリア地域
トウキョウトガリネズミの仲間(チビトガリネズミ Sorex minutissimus)は、
- ロシア極東
- シベリア
- 北東アジア
にも分布しています。
しかし、海外の動物園で長期飼育・繁殖展示されている例は非常に少なく、一般公開されている施設は確認例がほぼありません。

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