図鑑のページなどで出るバクはどんな動物? 特徴、生態、生息地について紹介、解説します。現存している有蹄類の中ではもっとも原始的な形質をもっている動物と言われており、非常に風貌も原始的な感じです。動物園では多くが飼育されており、解説していきます。
バクとは? 基本ステータスについて
バクは哺乳綱奇蹄目に含まれるバク科に属する動物です。体長は130~250cmで体重は110~300kgになります。学名はTaipiridae。原始的な形質をもっている動物で多くの動物園で飼育されており、展示されています。人気なのでWebのページでも画像がよく見つかります。英語はTapir、漢字は「獏」でバクは夢を食べる動物といわれています。
| Japanese(和名) | バク |
| English(英名) | Tapir |
| scientific name(学名) | Taipiridae |
| classification(分類) | Mammalia、 Perissodactyla、Tapiridae 哺乳綱、奇蹄目、バク科 |
| IUCN Status(保全状況) | ENDANGERED |
| Length(体長) | 130~250cm |
| Weight(体重) | 110~300kg |
バクのルーツ、起源は?
バク(Tapir)のルーツは、約5000万年前の始新世(ししんせい)に現れた原始的な奇蹄類(きているい)までさかのぼります。
起源と進化の流れ
約5000万年前
- 北半球(特に北アメリカやヨーロッパ周辺)で、現在のバクにつながる祖先が登場。
- 当時のバクの祖先は、現在より小型で、森林に暮らしていました。
約3000万〜2000万年前
- 奇蹄類の仲間が世界各地へ広がる。
- バク系統は森林環境に適応し、植物を食べる体へ進化。
約1000万年前以降
- 北アメリカで進化したバクの仲間が南アメリカへ移動。
- 現在の南米バクや中米バクの祖先になりました。
なぜ「鼻が長い」のか?
バクの特徴である短い鼻と上唇が伸びた形は、森林生活への適応です。
- 木の葉をつかむ
- 水辺の植物を食べる
- 匂いを探る
ために、柔軟に動く「小さな鼻(吻)」へ進化しました。
現在のバクの仲間
現在は主に4〜5種類が知られています。
- マレーバク(Tapirus indicus)
→ 東南アジアに生息。白黒模様が特徴。 - アメリカバク(Tapirus terrestris)
→ 南米の森林に生息。 - ベアードバク(Tapirus bairdii)
→ 中米に生息。 - ヤマバク(Tapirus pinchaque)
→ アンデス山地に生息。
分類について
バク科の動物は実は1種ではありません。多数の亜種がいます。以下のバク属の亜種が存在します。それぞれ地球でも歴史が長いです。一覧でマレーバクなど野生の主な種を紹介します。凶暴な種もいるので注意です。夜行性で前肢や後肢などに違いがあります。
| Name (名前) | Academic Name (学名) |
| Baird’s tapir ベアードバク | Tapirus bairdii |
| Malayan tapir マレーバク | Tapirus indicus |
| Mountain tapir ヤマバク | Tapirus pinchaque |
| South American tapir アメリカバク | Tapirus terrestris |
ベアードバクとは?
ベアードバクは中南米に生息しています。彼らは開発による生息地の破壊や狩猟によって激減しており、ワシントン条約附属書Iに掲載されており、絶滅危惧種に指定されています。
マレーバクとは?
マレーバクはインドネシアのスマトラ島、マレーシア、タイなどに生息しており、彼らは開発による生息地の破壊や狩猟によって激減しており、ワシントン条約附属書Iに掲載されており、絶滅危惧種に指定されています。
ヤマバクとは?
ヤマバクはエクアドルやコロンビアに生息する亜種です。彼らは開発による生息地の破壊や狩猟によって激減しており、ワシントン条約附属書Iに掲載されており、絶滅危惧種に指定されています。ベネズエラではすでに絶滅しました。
アメリカバクとは?
アメリカバクはアルゼンチンやチリ、ブラジルなど南米に生息しています。森林伐採による生息地の破壊、家畜との競合によりこの種は激減をしておりワシントン条約附属書IIに記載されており、絶滅危惧種に指定されています。
バクの生息地について
バクは中南米、南米、そして中国、東南アジアの森に分布しております。全体的には広く分布していますが、それぞれ絶滅危惧種にになっています。子どもから大人まで夜間の時間で暮らしている関係もあり姿はそれほど見られません。
1. 地理的分布
バクには種類ごとに生息地が異なります。代表的な4種類を挙げます。
① マレーバク (Tapirus indicus)
- 地域:マレー半島、スマトラ島、タイ南部、ミャンマー南部
- 特徴:熱帯雨林に生息する唯一の種
② アメリカバク(南米バク)
- ブラジルバク / 中南米バク(Tapirus terrestris)
- 地域:ブラジル、ベネズエラ、ペルーなど南米熱帯雨林
- 環境:熱帯雨林や湿地帯
③ ベネズエラバク / アンデスバク (Tapirus pinchaque)
- 地域:コロンビア、エクアドル、ベネズエラのアンデス山地
- 環境:標高1,000〜3,500mの山岳森林
④ ベイビーバク / ホンジュラスバク (Tapirus bairdii)
- 地域:中米(メキシコ南部、ホンジュラス、コスタリカなど)
- 環境:熱帯雨林や湿潤森林
2. 環境の特徴
- 熱帯雨林・湿潤森林が中心
- 川や湿地の近くを好み、水浴びや泥浴びをする
- 木や低木が密集している場所で、草や果実を食べる
3. 生息条件
- 水源の近く:体温調節や皮膚の保護、寄生虫防止のため
- 人間活動が少ない地域:森林伐採や農地開発の影響を避ける
- 広い生活範囲:食べ物を探すために移動範囲が必要
4. 生息状況
- 森林破壊や密猟の影響で、多くの種類が絶滅危惧種に指定されている
- 国際自然保護連合(IUCN)では、ほとんどのバクが絶滅危惧種(Vulnerable〜Endangered)
特徴は?どんな感じの生物なのか?
バクは体はずんぐりとした感じで、皮膚が硬く四肢は短く、尾も短いです。鼻の先端の感覚は鋭く、体は柔らかくて短い毛が密生していて、暗褐色や灰褐色です。バクは森林地帯に生息していることが多いですが、河川や湖沼でも見られます。天敵が迫ると、水の中に逃げます。泳ぐのは大変うまく、水中を歩いて渡ることができるのです。普段は森林や水辺などで単独、もしくは仲間たちと生活しています。
1. 体の特徴
- 体格:体長約1.8〜2.5m、体高約90〜120cm、体重約150〜400kg(種類による)
- 体型:ずんぐりした胴体、短い脚、丸みのある頭
- 鼻・口:鼻先が細長く伸び、**短い象のような鼻(鼻吻)**になっている
- 食べ物を摘む、草や果実を取るのに便利
- 皮膚・毛:毛は短く、種類によって黒・茶色・白・斑模様がある
- 耳・目:小さめの耳、目は頭の横についていて周囲を警戒できる
2. 食性
- 草食性
- 枝葉、草、果実、水草などを食べる
- 食べ方:長い鼻で食べ物を器用につかむ
- 水分摂取:水辺でよく水を飲む
3. 行動・生活様式
- 夜行性または薄明薄暮性で、夕方や夜に活動
- 水浴び・泥浴びが好きで、体温調節や寄生虫防止に利用
- 移動:食べ物を探すために広範囲を歩く
4. 社会性
- 基本は単独または親子単位
- オス同士は縄張り争いを行うこともある
- 水場や安全な場所では複数個体が集まることもある

性格はどんな感じになるのか?
バクはとてもおとなしくのんびりとした性格をしています。お昼寝も大好きで動物園へ行けば分かりますが,暢気に寝ていることが多いです。無防備に横になって寝ていることが多く、天敵に狙われることもあります。
1. 基本性格
- 臆病で警戒心が強い
- 視力はそれほど良くないが、聴覚や嗅覚が発達しており、危険を察知すると素早く逃げる
- おとなしく温和
- 攻撃は基本的に必要な場合に限られ、平常時はのんびりしている
2. 社会性
- 単独行動が基本
- 特にオスは縄張りを持ち、他のオスとの接触は少ない
- 母子単位での生活
- メスは子どもと行動を共にし、危険から守る
- 水場や安全な場所では小規模な集団を形成することもある
3. 人間との関係
- 臆病で攻撃的ではないが、追い詰められると突進することもある
- 動物園では、環境に慣れれば落ち着いて過ごす
バクの生態は?
バクは草食性で、草類や果実、木の葉や芽などを食べるが、水生植物も食べます。繁殖期は年中で妊娠期間は1年くらいあります。メスは一度に1頭産むことが可能。子供は2~4年で性成熟します。寿命は25~30年です。
1. 生活環境
- 生息地:中南米(ブラジル、コロンビア、エクアドルなど)や東南アジア(マレー半島、スマトラ島など)の熱帯雨林、湿潤森林
- 水場の近くを好む:水浴びや泥浴びで体温調節や寄生虫防止
- 広い行動範囲が必要:食べ物を探すために移動する
2. 食性
- 草食性
- 枝葉、草、果実、水草などを食べる
- 食べ方:鼻吻(象のような短い鼻)を使って器用に葉や果実を摘む
- 水分補給:水辺で水を飲む
3. 行動
- 夜行性または薄明薄暮性で、夕方や夜に活動
- 移動:食べ物や水を求めて広範囲を歩く
- 休息:昼間は密林や茂みの中で休む
- 水浴び・泥浴び:体温調節や寄生虫防止に重要
4. 社会性
- 基本は単独行動
- 母子単位での生活:子どもは母親と一緒に行動
- オス同士の縄張り争いがある場合もある
- 水場や安全な場所では複数個体が集まることもある
5. 繁殖・育児
- 繁殖期:季節により異なるが、熱帯では年間を通して繁殖可能
- 妊娠期間:約13か月
- 出産:1頭の子どもを出産
- 育児:母親が1年程度かけて授乳・保護
6. 寿命
- 野生:約25〜30年
- 飼育下:30年以上生きることもある
バクの天敵はいるのか?
バクの天敵はワニ、ジャガー、トラなどの獣になります。敵が迫ると水の中に逃げることが多いです。

鳴き声
主な鳴き声は以下のようなものがあります。
- 「ピィーーーッ」「キィーーッ」
- 高く鋭い笛のような声。
- 驚いた時、仲間を呼ぶ時、危険を知らせる時によく出します。
- 「クルルル」「ブーブー」
- 親子や仲間同士のコミュニケーションで使われます。
- 低いうなり声
- 警戒している時や威嚇時に出します。
特に有名なのは、バクの高周波の口笛のような鳴き声です。人間には「鳥の声?」と感じるほど甲高く、森の中では意外な方向から聞こえることがあります。
季節別の活動
バク(Tapirus)の活動は、地域(南米・中米・東南アジア)によって少し違いますが、基本的には熱帯の森林や湿地で一年中活動する動物です。冬眠はしません。
春(3〜5月)
活動が活発になる時期
- 雨が増え、植物が豊富になるため採食量が増える
- 新芽や柔らかい葉、水草をよく食べる
- 繁殖活動が見られる地域もある
- 夜間や明け方の活動が増える
特に森林では、雨後に新しい植物が増えるため、行動範囲を広げることがあります。
夏(6〜8月)
水辺利用が増える時期
- 暑さを避けるため川・池・沼に入る
- 泳ぎが得意で、水中で体温調節する
- 泥浴びをして寄生虫や暑さを防ぐ
- 夜行性・薄明薄暮性(朝夕活動)が強くなる
バクは体が大きく毛が密ではないため、水場は重要な避暑場所です。
秋(9〜11月)
食べ物を多く摂る時期
- 果実が実る地域では果物を多く食べる
- 木の葉、枝、水生植物などを幅広く利用
- 冬のような厳しい食料不足はないが、環境変化に備えて行動範囲を調整する
また、果実を食べて種を運ぶため、森林の植物分布にも影響を与えます。
冬(12〜2月)
地域によって変化
南米・中米のバク
- 熱帯地域では通常通り活動
- 暖かい場所や水辺を利用
- 夜間活動が中心
東南アジアのマレーバク
- 季節的な変化は小さい
- 雨季・乾季による植物量の変化に合わせて移動
※バクは寒冷地に適応した動物ではないため、冬眠や冬毛への大きな変化はありません。
一日の活動リズム
バクは基本的に:
🌙 夜〜明け方:活発
↓
☀️ 昼:休息、水浴び、森林内で静かに過ごす
という生活をします。
主な行動:
- 🌿 採食
- 💧 水浴び
- 👃 匂いによる縄張り確認
- 🚶 森林内の移動
- 🐾 単独行動(基本は1頭暮らし)
バクは「森の掃除屋」とも呼ばれ、季節を通じて果実や植物を食べながら森林の種子散布を担う重要な動物です。
歩行速度
バク(Tapirus)の歩行速度は、普段はゆっくりですが、必要な時にはかなり速く走れます。
通常の歩行速度
- 約2〜5km/h程度
- 森の中をゆっくり歩きながら、植物を探して移動します。
- 足音を立てず、密林内を進むのが得意です。
早歩き・移動時
- 約6〜10km/h程度
- 危険を感じた時や長距離移動では速度を上げます。
走る速度
- 最高で約30〜40km/h前後
- 体重200〜300kgほどある大型動物ですが、短距離ならかなり俊敏です。
- 森林内では直線的に走るより、障害物を避けながら突進するように逃げます。
泳ぎも得意
バクは陸上だけでなく水中能力も高く、
- 川を泳いで渡る
- 水中を歩く
- 危険時に水へ逃げる
ことができます。

バクの幼獣について
バクの幼獣について整理します。
1. 出生
- 妊娠期間:約13か月
- 出産時の大きさ:体重約5〜15kg(種類による)、体長約70〜100cm
- 見た目:斑点や縞模様のある毛が生えており、保護色の役割がある
- 初期の特徴:鼻吻は短く、角や牙はまだ発達していない
2. 成長
- 歩行開始:生まれてすぐ立ち上がり、母親の後を追って歩く
- 授乳期間:母乳で約6〜12か月育つ
- 離乳後:葉や草を食べる練習をしながら独立
- 成熟:種類によるが、オスは3〜4歳、メスは2〜3歳で性成熟
3. 母親との関係
- 母親の保護下で成長し、危険や捕食者から守られる
- 移動や食べ物の採取方法を母親から学ぶ
- 母子以外の個体とは接触が少ないが、水場では一時的に集まることもある
4. 性格・特徴
- 臆病で警戒心が強い
- 母親に依存して行動し、危険を察知するとすぐ隠れる
- 好奇心はあるが、まだ体力や運動能力は未熟
バクは絶滅危惧種なのか?
上記でも説明した通りバクのほとんどは絶滅危惧種になっています。またワシントン条約でも掲載されており取引が区別されており厳しく制限されています。その理由は以下のようなことが挙げられます。危機的な状況にあります。
違法な狩猟
バクは国際的に守られていますが、肉を狙った違法な狩猟が各地で続いています。これにより個体数は全然回復していません。バクの肉は売れるようで、なかなか取り締まりができていない様子。
生息地の破壊
生息地の破壊も問題になっています。特にアジアでは急激な土地開発が進んでおり、とても厳しい環境になっています。動物園や国立公園で限定で保護されるようになっています。世界で保護のためのイベントも開催されています。
バクは飼育できるのか?
バクは巨大な動物であることや、絶滅危惧種に指定されており制限がかなり多いですので飼育にはあまり向いていません。保護が他の同じ動物よりも必要な状況で、早急な活動が必要でしょう。現地で実際のバクを見学するのが無難です。
1. 法的・管理上の制約
- バクは絶滅危惧種に指定されており、ワシントン条約(CITES)で国際取引が規制されている
- 日本国内でも、個人での飼育は法律上認められていない
- 飼育可能なのは、動物園・保護施設・研究機関など特別な許可を持つ団体のみ
2. 生態・飼育の難しさ
- 大型で力が強い
- 体重150〜400kgになるため、丈夫な柵や安全管理が必須
- 広い生活空間が必要
- 森林や水辺での移動や食べ物探索が必要
- 食性が特殊
- 枝葉や果実、水草など多様な食べ物を確保する必要
- 臆病でストレスに弱い
- 捕獲や環境変化で病気や食欲不振になることがある
3. 飼育されている例
- 世界中の動物園で飼育されており、広い敷地や水場、泥浴び場が整備されている
- 日本国内でも、多くの動物園(上野動物園、東山動植物園など)で飼育されている
- 飼育下では、授乳・食事管理・健康管理・安全対策が徹底されている

飼育されている動物園(日本・世界)
バク(Tapirus)は世界中の動物園で飼育されていますが、絶滅危惧種であるため、多くの施設では繁殖・保全目的で飼育されています。日本では主にマレーバク(Tapirus indicus)が多く飼育されています。
🇯🇵 日本でバクが見られる主な動物園
多摩動物公園
- マレーバクを飼育
- 国内でも繁殖実績が多い施設のひとつ
- 2025年にはインドネシアから新しい個体も導入されました
よこはま動物園ズーラシア
- マレーバクを展示
- 熱帯雨林を再現した環境で観察できる
東山動植物園
- マレーバクを飼育
- 繁殖計画にも参加
福岡市動物園
- マレーバクを飼育
- 鳴き声の紹介もある施設
長崎バイオパーク
- ブラジルバク(Tapirus terrestris)を飼育
- 日本では珍しい南米系のバクを見ることができます
その他にも、
- 千葉市動物公園
- 東武動物公園
- 群馬サファリパーク
- 愛媛県立とべ動物園
などでも飼育例があります。
🌎 世界の有名なバク飼育施設
🇺🇸 ZooTampa at Lowry Park
- マレーバクの繁殖実績あり
- 保全活動にも参加
🇺🇸 Houston Zoo
- ベアードバク(Tapirus bairdii)を飼育
- 中南米の湿地を再現した展示で知られる
🇬🇧 Chester Zoo
- 希少種保護・繁殖プログラムに参加
🇸🇬 Singapore Zoo
- マレーバクを展示
- 自然に近い熱帯環境で飼育
🇩🇪 Berlin Zoological Garden
- バク類の飼育歴が長い動物園

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